あらかわのエッセイ

三十代農民のつぶやき。

写真と、思い出と。

 

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brassband


中学生の頃に吹奏楽をやっていた。まだ松本市に併合される前の小さな山村の学校で、全校生徒は当時200人もいなかったと思う。そんな学校の吹奏楽部が小編成とはいえ、県代表になったのは名誉あることだろう。(※吹奏楽の大会は50人のA編成と30人のB編成とがある。A編成は全国大会まであるガチ大会だが、B編成は県大会の次が長野県の場合は東海大会でおしまい

写真とは不思議なもので、撮影された当時のことを鮮明に思い出させる。1つ上の先輩が美人だったなあとか、隣でトロンボーン吹いてる友達とマンガの貸し借りしたなあとか、懐かしい気持ちになる。同じトランペットを吹いていたけど仲が悪かった彼は、今どこで何をしているのだろう。
あの頃から、もしかしたらそれ以前からかもしれないが、僕はなにかと苦悩していたように思う。生きていく意味や社会の矛盾、人間と関わる煩わしさ、とにかく些細な事で厭になりながらロングトーンの練習をしていたことを覚えている。音楽は好きだったし、先生や仲間から認められることもうれしかった。多分私のアイデンティティはそこにあったと思うし、それが精一杯生きた結果になった。40万円で買ったストンビーのトランペットは、今でも手元にあって色褪せてはいない。でももう上手には吹けなくなったと思うと寂しい。
私には月に2回くらい通っていたトランペットの先生がいた。先生は私が高校に上がって不登校になったときに、時々遊びに連れてってくれた。感謝はしているのだけど、なぜか恥ずかしくてお礼が言えないまま連絡先もわからなくなってしまった。もしまたもう一度会えたらその時は、しっかりお礼を言えたらいいなと思う。

写真とは不思議なものだ。いろいろな記憶や感情を、思い起こさせるものだな。